ユング心理学がよくわかる本

アドラーの次はユングについての入門書を読んでみた。

 

心には「自分について意識している部分」と「自分でも意識できていない心の奥底の部分」があり、この両者は対照的な性質をもっている。この二つの存在はぶつかり合うものではなく、お互いの足りない部分を補い合うものである。

このバランスが崩れた時、心を患うのである。すなわち「本来は心の奥底に静まっていて表に出ないはずの無意識が暴走した」ということ。

うん、なんかカップルの話みたいね。

 

治す方法に共通する目的

1、当人に病の原因をつきとめさせる。

2、その原因と当人当人を向き合わせて納得させる

3、その原因を克服して強く生きる意志を生み出させる

自分自身が自分の心と向き合い、自分の心の病を理解して、納得する。

それはあくまでも当人の力でなされるべきだと。そのために対話、造形、夢分析がある。

この辺はアドラーと同じですね。

 

言語連想検査

医師側が用意していた単語を患者へ投げかけ、患者は連想する言葉を瞬時にこたえるというもの。

ユングが鋭かったのは言葉に注目するだけでなく「反応スピード」に着目した。

数秒考え込んでしまったり、何も答えれなかったり。そうした場合、「その人の無意識のパワーが心の中でその言葉の連想を妨げている。それほどに、その人にとって辛い、苦しい、思い出したくない何かの原因があるのだ」と考えた。

いいですねーユング個性出てきましたねー

 

無意識を知ってしまえば、その瞬間無意識では無くなって、また新たな無意識が生まれるのだろうか?ふと思った。

興味深い話が書いてあった。

「40歳前後の頃、ユングは人の心の正体が漠然とつかめるようになって、それを目に見える形にしようとした。

心の正体を掴めたような感覚を表すのに、毎日のように『大きな円の模様』を紙に描いた。しかし、それが後から、悟りの心を表した『曼荼羅図』に通じることがわかった。

こりゃすげえ。

ユングは自分の心を形にして観察できるようにいろいろ作ったみたい。

その中でもすごいのは「ユングの塔」

1923年48歳でひとまず完成。そして増築を経て、1935年60歳の時、完成。自分で石を運んで積み上げたのだそうだ。

グレートユング。アートですね。

 

ユングの夢の話は世界観半端ない

「夢」は当人にも理解しきれない心の奥底を映像として見せてくれるもの

ユングは個人的な事ばかりでは無く、神話や昔話など、もっと幅広い人間の文化とも夢の内容に関連付けた。「人の心には個人的な体験や知識を超えた共通の部分がある」

「歴史的な文化や文学とは、人それぞれが知識として知ら無くとも、その大体は人類に共通したもので、誰の心にもあるものだから」

夢の中で見る実際に見た事ないような景色などはこうした個人の体験を超えた意味があるという事みたい。なんか壮大になってきたで。

夢は自分の無意識世界を目に見える形に例えたもの。

ここに人の無意識を知るヒントがあると目をつけたわけですな。

何か今日どんな夢見るかわくわくしてきたぜ。

 

夢に登場する人や物が「それその物の存在」として表れた場合→客体水準

「無意識を例えた物」だった場合→主体水準

 

ここでフロイトとの対比

フロイト

無意識は意識が抑え付けている欲望の固まり。理性(意識)で欲望(無意識)を抑えている状態。心の病とは欲望が理性によってあまりに強く押さえられすぎたり、歪められた時に、無意識が意識に対して激しく反発した症状。無意識とは抑え付けられた恨みを晴らす為に、意識に復讐する存在。悪役みたいなもの。

 

ユング

無意識の反発とは、心の歪みを知らせてくれる警告。この警告に耳を傾け、意識と無為意識が協力し合わなければならない。悪役ではない。

 

なんとなく性格がわかる気がする‥

 

人の心が持つ力は4つの種類に分けられる。

感情↔︎思考

直感↔︎感覚

普段の性格や行動を、一つの機能が大きく影響している。

その機能とセットになっているもう一つの機能が「無意識」の中に大きなエネルギーとなって潜んでいる。

思考機能=その対象物は論理的にどんな物かを理解する力

感情機能=それが気持ちの良いものか、不快なものかを決める力

感覚機能=対象物そのものの色や形、大きさや位置などを把握する力

直感機能=ひらめき力

この4機能に外交的態度と内向的態度を合わせて8つの個性のタイプを見出した。

 

コンプレックス

理性的、客観的に判断すればなんでもない事なのに、自分の心だけがどうしてもこだわってしまう事。無意識の中のこだわり。コンプレックスが暴走する前に、自覚し、それを意識の中に受け入れる事が大切

 

元型について

ユングは人の行動が本能によって決められるように、人の心の感じ方にもそれを決める基本があると気づいた。

母親=包みこんでくれるもの。と感じるプログラムが人の心に初めから備わっている。これが元型。

神話に触れてなるほどと共感できるのは神話の根本に元型が影響しているから。

普遍的無意識は様々な元型の集まり。

 

男が持つ女の心=アニマ

女が持つ男の心=アニムス

 

ペルソナ

自分の役割を果たさねければならないと思う心があり、また他人に、その人の役割を期待する心がある。集団に向けてつける仮面のこと。

合うペルソナも合わないペルソナもある。

自分にぴったりだからといってたった1つのペルソナだけにしがみつくと、幅広い人間社会では生きられなくなる。

大人のペルソナを拒否する人を永遠の少年と呼んだ。

 

シャドー

当人が嫌って否定する悪が、無意識の中に依存する事を発見した。

シャドーはある意味で人生のもう一つの可能性を導く

悪魔とは人が誰しも持つシャドーの例えの姿。その存在をまず認める事。

意識する事によってシャドーの危険なパワーを無力化出来る

妙に感情的に反発する他人とは、実は自分のシャドーを投げかけた相手である。この様な心の動きを投影という。
投影とは意識が否定したがっている自分の心を他人の心の様に解釈して、その相手を否定し、攻撃すること。そうすることによって、私自身には、そんな嫌な心はないのだと自分で自分を誤魔化そうとするのです。
投影だと気がつきさえすれば、プラスに働く。他人に託した事によって自分の心の闇をはっきりとりみれるから。

ある人種にものすごく腹が立つ時がある。それは自分に対する怒りであったのか‥

全く気がつかなかった。そしてわかるようで、ピンときていない部分がある。

 

自我と自己
自我 私は私であるという気持ちを支える意識の中心。自分にとって当たり前の自分
自己 無意識と意識を合わせて完成した「心そのもの」
自我は意識だけを支えているが、自己は心の全てを支えている。
あらゆる元型の最上位に位置する究極の元型

自我はコンプレックスに影響を受けやすい。
自我の願いは私は「私が正しいと思える人間」でありたいという事
自我がコンプレックスに潰される前に自分を守ろうと、そのコンプレックスを他人に放り出し、急場しのぎのごまかし〈投影〉をしようとする。
自我が自己を対等に向き合い補い合うような努めなければ、本当の完成した心にはなれない。

 

さあ、ユング心理学がよくわかる本を読んで、ユングの主張を断片的に知る事ができた。

人間が何かを感じる時、ある現象が心のフィルターを通る時に感情が生み出される。

感情のコントロールがうまくいかない時、心のフィルターを少し掃除しなあかんよという感じでしょうか。

ふと感じた「無意識を認知する事で意識に変わり、また新たな無意識が生まれるのでは?」という疑問。

人の心は宇宙のようにどんどん広がっている。そんな気がする。

無意識を認知するスピードよりはるかに早く広がっている。

無意識の中に眠っていた聖闘士星矢が僕に叫んだ

「コスモを燃やせ!」

その声はユングの声のようにも思えた。

 

聞いた事ないけど。